見まごう邪馬台国

◇入口と出口 2

 本来、西「七赤金星(白虎)」の干支「酉(とり)」は、仕込んだ清酒や醤油の酛(もと)を麹菌の力で発酵させて醪(もろみ)にするための甕(かめ)や樽 (たる)の象形ですので、「輪廻転生思想」で胤(魂)を受胎して育む子宮(酉)であり、嬰児を育む母乳(魄=麹菌)ともなります。
 欧州等でも鸛(こうのとり)等の大鳥には赤子を運んでくると云う伝承があり、亡く なった人の霊魂が「鳥(つる→とり)」等、飛ぶものに宿り、天に還って輪廻転生します。日本でも、お盆の頃、山から降り、里の田圃等で群れ飛ぶ蜻蛉(あき あかね)には、亡くなった先祖の霊魂(たましい)が宿ると信じられました。また、天宮へ運ぶ天鳥船=霊鳥(つる)の雁(かり/がん)も霊魂を宿して月に還 ると考えられました。
 韓国語でも、虎(horaŋi)、猫(koyaŋi)、揚羽蝶(horaŋ-nabi)、猿(jan-nabi) とされますので、東アジア一帯でも、こうした輪廻転生の思想や伝承等を共有するのでしょう。例えば、壇ノ浦戦で敗れ、西国へ追われた平家一門は、後代、輪 廻転生して表舞台に返り咲いたのでしょうか、その家紋は「揚羽蝶」とされます。最後に、述べてきた事を考え併せ、虎(とら)、鶴(つる)等の訓音に使われ る万葉仮名から考えてみます。
 「つ」甲「と」は[dug][dəu][təu]([dag][to][tu)、屠・徒・途・杜[dag][do][tu]が通用され、後者は、今でも「ツ」「ト」と読みます。更に、訓に拠る仮名の甲「と」=門・戸があります。
 甲「ト」と云う音は区切り、境目で、狭間や水道(瀬戸)、出入口、戸口(扉=とびら)等の基礎語義で、万葉仮名「つ」は、付・着・就・突(つく)や、続 (つづく)や繋(つなぐ)等の基礎語義と思われます。例えば、「つ=通」の上・中古音[tuŋ]=ツヌク→ツヌッ→ツゥ、近世音[toŋ]=トヌク→ト ヌッ→トゥ になります。一方、「ら」「り」「る」「ろ」には以下の音が通用されます。

  「ら」羅・邏[lar][la][luə]
  「り」=[lug][ləu][ləu] 理・里[lıəg][lıei][li]
  「る」=[lug][ləu][ləu] [hlag(hlo)][lo][lu]
  甲「ろ」=[hlag(hlo)][lo][lu] 乙「ろ」==[lıəg][lıei][li]

 もう一つ、戸[ɦag][ɦo][hu]と虎[hag][ho][hu]と近世音が同音ですので、「トラ」とは、黄泉国への入口「裏鬼門(坤=未申)」から天宮への出口「鬼門(艮=丑寅)」、陰極(子宮)への入口で霊魂の通り道、臨月の胎児が通る産道、嬰児が母乳の「魄」を宿すため通路(ツゥルィ・トゥラォ)=出入口や通り道で、耕作地や治水のための水流(つる)と同義の「通(ツゥ)・路(ルォ)」と云う意味で、 以下の如く転音したと考えます。

  ツル(鶴・水流) → ツゥルィ → トリ(酉・鳥) → トリァ →トラ(虎・寅)

 「記紀」は母系の男子として輪廻転生する伊邪那美(伊奘冉)と頚を斬られた御子の火之迦具土神(軻遇突智)を、裏鬼門から黄泉国へ追った伊邪那岐(伊奘諾)は、鬼門から天宮(竺紫日向橘小門阿波岐原)へ向かい川の中つ瀬(陰極)で禊ぎ祓い、神々を生した後、次々と名前が替わり輪廻転生を示唆します。
 平安遷都後、靡かない人々を討伐した桓武天皇は京都(けいと)の東北「(鬼門)」に比叡山延暦寺を建立、狼(おいぬ)→鬼(おに)=根性の捻くれたとして東海へ追い払われた鬼(=オァイヌ)→兄(あに)は西方浄土へ還られず、輪廻転生を封じられた蝦夷(えみし)は、アイヌ(東犬)として貶められました。
 尚、東北「八白星(鬼門・艮)」の寅(とら)の「解字」家の中で背筋を伸ばして居ずまいを正すとあり、人に馴れて従順な犬(ぽち)=「(ちゅ)」と違い、家に居着くとされる猫(ねこ→泥戸)とも考えられます。(了)

鸛=コウノトリ目コウノトリ科の鳥。世界に約19種あり、何れも鶴に似るが嘴が太く長 い。羽毛は大部分白色で、翼の大部分が黒色。脚は赤色。嘴で「かたかた」と音を立てる。形態・大きさ共に丹頂に似るが、本種は樹上に営巣。東アジアに分 布。ヨーロッパには近縁のヨーロッパ‐コウノトリが分布、赤ん坊を運んでくるとされる。日本では特別天然記念物に指定されたが絶滅、大陸から稀に冬鳥とし て渡来。鸛鶴(こうづる)。

トラ=「ト」「ツ」「ラ」「リ」「ル」に使われる万葉仮名は以下の如くなります。おそらく、ラ行の場合、本来、曖昧な発音だったのか、「ラ」「ル」「ロ」以外は無かったとも考えられる。
 ●「つ」 *訓に拠る仮名「津」(変体仮名)
 [dug][dəu][təu]  屠・徒・途・杜[dag][do][tu] *[dag][to][tu]
 菟[tag][to][tu]  通[tuŋ][tuŋ][toŋ]
 ●甲「と」 *訓に拠る仮名 砥[di]・戸[hu]・門[men]
 刀[dɔg][tau][tau]  斗[tug][təu][təu]
 [dug][dəu][təu]  *[dag][to][tu]
 屠・徒・途・杜[dag][do][tu]  渡[dak][dak][to]
 妬・徒・屠・図・塗・土[tag][to][tu]
 ●乙「と」 *鳥[niao] 十・止[shi]訓に拠る仮名
 得[tək][tək][təi]  徳[tək][tək][tə]
 等・登[təŋ][təŋ][təŋ] *異音[t`əg][t`ai][t`ai]
 騰・縢・藤[dəŋ][dəŋ][təŋ]
 台[təg][təg][tai] *異音[diəg][yiei][i]  臺・苔[dəg][dəi][təi]
 ●甲「ら」
 羅・邏[lar][la][lo]
 ●「り」
 [lıəg][lıei][li]  利・梨[lıed][lıi][li]  離[lıar][lıe][li]
 ●「る」
 楼・婁・漏[lug][ləu][ləu]  盧[hlag(hlo)][lo][lu]
 ●甲「ろ」
 楼・婁・漏[lug][ləu][ləu]  路・露[glag][lo][lu]
 魯[lag][lo][lu]  [hlag(hlo)][lo][lu]
 ●乙「ろ」
 =[lıəg][lıei][li]  呂・侶[glıag][lıo][liu]
 慮・廬[lıag][lıo][liu]

水流(つる)=戸[ɦag][ɦo][hu]・羅[lar][la][lo]の中 古音では、フォラ→ホラで、洞(ほら)=口が開いた所になる。尚、岫(くき)=山の洞窟とあり、福岡県北九州市の洞海湾は古名「洞海(くきのうみ)」で、 湾ではなく、旧くは遠賀川へ抜ける水道だった。漏(くき・くく)しとあり、同訓の茎(くき)も水分の通路で、通じている事、耳で聞(きく)も耳の穴を通じ て入った声や音を感じる事、括(くく)るも、繋(つな)ぐ=連続性になり、これを括(くび)るとすれば、首(くび)=括れて繋がる所で、先述した「来る」 も連続性→回転するとなります。

名前=「記」伊邪那岐命→伊邪那伎大神→伊邪那伎命→伊邪那岐大御神→伊邪那岐大 神と替わり変わり、最終的に淡海多賀に坐して転生すると、父祖の女系として輪廻します。一方、伊邪那美(生母)→泣沢女神(乳母/妻)→火之迦具土神(御 子/夫)に転生、母祖の男系として輪廻する。この二系が伊勢神宮に祀られる「天照皇祖神(父祖と母祖)/豊受大神(養父母)」と考えられます。





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