見まごう邪馬台国

◇韓国(朝鮮)の行政区画

 韓国の洞(Tong/Kor) 里(Ri/Maur) 村(Chon/Maur) 坪(Pyong/Tur・Pur・Pari・Por・Pori)等と、日本語の「県」「郡」「市」「町」「村」の行政区画の違いは何でしょうか。
 東洋言語の比較研究の開拓者として世界的に有名な言語学者で、国語辞典「広辞林」の編者金沢庄三郎氏は、以下の箇条書きで説明します。

【(1)朝鮮に於ける最も普通に集落を表す名詞は「~洞」「~里」である。
 (2)2つと同義で、位置や地勢により、村、坪、田、地、基、原、亭、站、岱、津、谷、浦、城、島等を用いる。
 (3)代表的な名詞の音読みと訓読み韓国語の固有読み)は、以下の通り。*()内は漢字音読/訓読

   洞(Tong/Kor) 里(Ri/Maur) 村(Chon/Maur) 坪(Pyong/Tur・Pur・Pari・Por・Pori)

 (4)これらの地名接尾語には、本来、多少の使い分けがあったが、かなり混同される。
 (5)里や村の朝鮮語固有読み、Maur(マウル)には、Mori(モリ)、Mari(マリ)、Mar(マル)、Mor(モル)、Mouri(モウリ)等の変化形がある。
 (6)坪の訓読みの方も、Pur(プル)、Pari(パリ)、Pori(ポリ)、Puri(プリ)の変化形がある。朝鮮語のP音は語中で、Bur(ブル)、Bari(バリ)、Bori(ボリ)、Buri(ブリ)になる。
 (7)坪(Por/ポリ)は、古代に於て、「伐」の字を用いられ、三韓では「城」と同じ意味に使用されていた。その他、尚、夫里、卑里、不離、巴利、頗利等の字が充てられた。
 (8)金沢論文に引用されている邪馬台国九州説を最初に唱えたことで有名な歴史学者の白鳥庫吉博士説に拠れば、上記、Pur、Por が Bur → Mur → Maur になった。
 (9)この Pur(プル)、Por(ポル) は、日本語の古語では「フレ」にあたり、プレ(pure)と発音していた。後の地名の「フル、バリ、ハル、ハラ」等は、全て、この「フレ」が転訛したもの。】 *半角の片仮名は韓国語のパッチム=母音を持たない子音、以下同

 上記、(1)~(9)迄を、一つ一つ取り上げながら、私見を述べてみたい。

 >(1)朝鮮に於ける最も普通に集落を表す名詞は「~洞(Kor)」「~里(Maur)」である。

 金沢庄三郎氏も、上記、(4)で、これらの地名接尾語には、本来、使い分けがあったが、かなり混同されるとします様に、~洞(Kor)、~里(Maur)も同義ではなく、その地域の地形の状況や状態が違うと考えます。
 前者のKor(洞=コル)は、日本語の洞(ほこら)=矛で突いたような細長い区画=先を見通せる事や、刳(くる)=刃物で抉り、穿ち穴をあける事と関連があるとすれば、山に挟まれた谷間口で、川が流れる等、見通しが利いた集落と考えられます。
 例えば、福岡県北九州市を南北に別ける洞海(どうかい)湾は、旧く「くきのうみ」と呼ばれていました。この頃、遠賀川下流域で繋がっており、潮汐に拠る潮流のある水道でしたので、この「洞(くき)=岫」は、漏(も・る)の古語(くき・し)と関連があるでしょう。それが故か、その南側の同市戸畑区から小倉北区・南区一帯に架けては、企救(くく→きく→きくら→こくら)郡と呼ばれました。
 ~里(Maur)を「マゥル→モル」にしますと、「漏・洩(もる)」と繋がるのかも知れません。ただ、盛(もる)、守(もる→まもる)と在りますので、漢字「里」の語義からすると、土を盛り、作物を守る畝を作る耕作民が住む、城壁のある条里制の集落(区画)と考えられます。
 韓国語には小さな口で発音する「オ」があり、漏・洩(も)る=「モゥル」は「ム」と「モ」の中間音で、韓国語「水(ムル→ブル)」に近い音かも知れません。一方の「盛る」「守る」は大きな口の「オ」の「モル→マォル」に近い音とすれば、日本語の「丸(まる)」とも繋がります。
 現代韓国語には、馬(mar)、言葉(mar)等がありますので、日本語の「ま」の発音に近い音「マ」ではなく、前者は「マ」と「モ」の中間音になります。

洞(くき)=洞海湾付近の地図で確認すると、水道の南北海岸縁迄、山裾が迫る地形です。同音の茎(くき)も上下の両端が通じた水道として良い。「紀」伊奘諾が黄泉国から還る時、何事か伊奘諾に云ったとされる白山神社等に祀られる菊理(くくり→きくり→くきり)媛は、括(くくる)=二つ以上の物を縄や紐の両端を繋ぎ併せる事になる。また、「ホ・コラ」の「ホ」は、穂先補や炎(ほのほ)等に使われる先端の事で、行き止まりのがある事を示唆する。
 尚、現日本語では、ア・イ・ウ・エ・オと云う五母音とされますが、現韓国語には「ア」「オァ」「オゥ」「イ」「ウ」「ィウ」「アィ(大口形のエ)」「オィ(小口形のエ)」等、様々な母音がある。クク→キク→クキ等の転音は、そうした曖昧な母音に拠る振り分け方の違いが要因と思われる。

企救(くく→きく→きくら→こくら)郡=古代、遠賀川沿岸部に巣くったとされる物部族の一つ聞物部(きくもののべ)氏の領地と伝承される。尚、「キク」とは耳で聞くだけではなく、鼻が利く、目が利く、口を利く、薬が効くとも使われますので、感覚が繋がる事、A点からB点が通じ、病気等の因果関係に適う事。
 尚、「ラ」=等・羅で、単一点ではなく、多数・区画を表す語、新羅(しぎ)・百済(くだ)、群がる→村(むら)等。奈良(な)は、均し、平す事に関係して京都を開いた所と考えられます。

丸(まる)=毬・鞠(まり)、椀(まり)、放(まり)等は同源となります。おそらく、後者の二つは、放物線との関係から半円形になる蒲(がま)や、魚肉の練り物の蒲鉾も円筒状の穂花からでしょうが、現在は板上に半円筒形に盛る。また、同様の円形や半円形の鎌(刃の形状)・釜(底の形状)・窯(天上の形状)を表す「カマル→カマッ→かま」もある。
 尚、船の名称や城の本丸や二の丸に使われる理由は、海(女神)に対する男性のトーテムとされる馬(Mar)=船(男神)と同様、軍隊が駐屯する里や村の韓国語(Maur)等と関連し、城(土に成る)とすれば、陰神(女性)の土台上に立つ陽神と云う関係か。



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