見まごう邪馬台国

◇村と触

 >(8)~云々、歴史学者の白鳥庫吉博士説に拠れば、上記の「Pur」「Por」が「Bur → Mur → Maur」になった。

 漢字音の変化(上古音→中古音(唐音)→近世音)はB系→P系と云う転音が多く、P系→B系も極僅かあり、「Pur→Bur」という転音もあり得ます。ただ、中古音(唐音)では、マ(M音系)行→ムバ行(mB音系)に変化します。詰まり、ハ行の濁音バ行(ba)と、マ行鼻濁音(mba)が在りますので、こうした事に順いますと、「Pur→Bur→Mur」と云う転音だけではなく、「Mur→Mbur→Bur」とも転音もあったと考えられます。
 これらの言葉が漢語を使う支配階級だけではなく、民間レベルでも使われたとすれば、漢字音等の影響に縛られず、彼等の持つ音韻体系に拠ったと思われますので、問題ないでしょう。ただ、意味的な変異は在ったかも知れません。
 
 >(9)この「Pur」「Por」は、日本語の古語では「フレ」にあたり、「プレ(pure)」と発音していた。後の地名の「フル、バリ、ハル、ハラ」は、この「フレ」が転訛したもの。
 
 漢字音の変化、上古音→中古音(唐音)→近世音からすると、P系→B系、P系→F系と云う転音が見られます。 日本語の現代音のハ行・バ行、韓国語のH音系は、漢字音と同様、旧くは、P系(パ)→B系(バ)とP系(パ)→F系(ファ)の二系の音があり、夫々の語源や意味合いは違っていたと考えられます。詰まり、古朝鮮語「Pur」「Por」が、全て一様に以下の如くと変化したとするには、少し、無理があるのかも知れません。

  フレ(pure→bure/fure→hure) フル(puru→buru/furu→huru)
  バリ(pari→bari/fari→hari) ハル(paru→faru→haru) ハラ(para→fara→hara)

 玄界灘に浮かぶ島、長崎県の壱岐には行政区画としての触(ふれ)が在り、これも古朝鮮語由来とされます。ただ、より朝鮮半島に近い対馬には見えない地名語尾の「触(ふれ)」が壱岐にだけに残った理由は何でしょうか。
 例えば、上記と同系には、振(ふり)・降(ふる)、村(むら・ふれ)等があります。村の訓「むら」が群(むらがる/むれる)と同源だとすれば、拡散していた多くの人が集中して群がると、袖が触れ合ったのか。おそらく、以下の如く転音したと考えます。

   ムラ(mura)→ムレ(mure)→ムブレ(mbure)→ブレ(bure)→プレ(pure)→フレ(fure/hure)

 詰まり、村(むら)→ムブラ(mbura)→プレ(bura)→触(pure/ふれ)と云う転音とも考えられますので、一概に古朝鮮語由来とはできません。おそらく、下記の如く転音し、語義が派生したと推測されます。

  触(ふる→ぶる)→群(むる)→村(むら)
  ↑
  治(ばり)→墾(はる) *春→晴(はれ)
  ↑
  張(はり)→放(ばうる→まる) *丸(まる)
  ↓
  原(はら)→茨(いばら) *荊(いばら)

 触(ふる→ふれる)の同訓、振・震・狂(ふれる)=横に外れる→互いに連絡している→関係性がある。また、古・経(ふる)・降(ふる)、柯(ふる)等も在り、古・経(ふる)は、A点~B点へ時間が過ぎる事、降(ふる)は、A点(高所)よりB点(低所)へ落下してくる事、柯(ふる→えだ)は、幹(A点)から別れて伸びた先(B点)とすれば、上記、振(ふる)・震(ふる)は、A点から中央、中央からB点への移動で距離感があります。尚、触(ふる・さわる)=付く事とすれば、これもA点とB点が連絡する事になり、何れの場合も語義は同源として良い。
 例えば、ハラ(原・腹・払)=平たい事、ハリ・バリ(墾・治・張)=平たく開ける、ハル(春・晴・貼)=冷気や雲が払われ、平になり視界が開ける、フル(振・降・震)=上下や縦横の動き等、最下層に基本語義を共有する同訓の異義語も、本来、幾分か発音が違っていたかも知れれません。
 今迄、述べてきた事を考え併せると、「Pur」「Por」が「Bur → Mur → Maur」とする全てが同源の言葉で、同音から派生・転音したとしても、何らかの語義的な変異があって然る可きでしょう。

墾(はる)=治水工事や土砂が堆積して拡がる原野を開墾する。放(ほうる→ばる→まる)→丸(まる)→巻(まるく)→種を播[pa](ばく→まく)、散らばる→開き張る→貼る、植物が芽吹き、葉を張り出し、曇りがちの空に日が差して晴る→春(はる)等、同源として良い。

まる=小便を放る(はう・る→ばう・る→まぅる→まる)等と使われた。尚、馬韓の一国「莫盧國=マッゥロッ→マロ→マル(放る→丸)」を生活習慣の違う言葉の通じない国とした。定住する畑作民ではなく、草原に羊や馬等を放牧する遊牧民の国かも知れない。
 (字統)「廬」の説明として、旅=旗を掲げて多くの人が出向する事で、軍行の集団(旅団=軍五百人)、一方、「斿」=一人で旗をを奉じて行くと在り、集団生活ではなく、家族単位で移動すると考えられる。

荊(いばら)=刺のある小木の総称。むばら。うばら→うまら(上代東国方言)。「薔薇」とも書く、野生のバラ類の総称。ノイバラの類。植物の刺・針。〔建〕唐破風(からはふ)等で、曲線の集まって生じた尖点。*薇(ばら)、威張(いばり)→角張る→刺々しい



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