見まごう邪馬台国

(2)已百支国

  前項迄、その概略ですが、私見として、「記紀」と邪馬壹国との関係を述べてきましたが、やっと、次の傍国「已百支国」の考察に戻れます。

  已[diəg][yiei][i]=曲がった耜の象形、万葉仮名「い」に使われる「以」と同音。
  百[păk][pʌk][pai(po)]=一と白の合字、成数の百、全一の意に用いる事が多い。
  支[kieg][tʃıĕ][tsï]=小枝を手に持ち支える。

 漢字音を併せると、ヂァッパッキェッ→チァパッケッ→タパケ→タファケ(タマケ)→タァケで、岳・竹・武(たけ)、滝(たき)・環(たまき)とすれば、(1)斯馬国の比定地東側、佐賀県東松浦郡(現唐津市)七山村滝川・鮎帰・博多・木浦(きうら)・松坂、同県伊万里市東山代町滝川内・讃岐、同県西松浦郡有田町大野(八坂神社)、熊本県阿蘇郡(現山都町)蘇陽町滝上・伊勢・大野・八木、同郡(現阿蘇市)波野村滝水、同県上益城郡御船町滝尾滝川・日向等がある。
 これを、タァケ→タァクとすれば、福岡県宗像市田久・田熊・赤間・田島(宗像大社)、島根県飯石郡三刀屋町多久和・神代(同神社)・八幡、同県出雲市(旧平田市)多久町・多久谷町・別所(鰐淵寺)・焼山や、私説で、伊都国領内とした佐賀県多久市別府・納所等がある。
 ただ、「斯馬国」を末盧国東北側、福岡県糸島市二丈鹿家東側一帯としたので、その記述順で時計回りとすれば、通説的な
伊都国の比定地、福岡県前原市多久・中原・有田・五反田・高祖(高祖神社)・宮地岳(託社神社)等の平原遺跡付近一帯とする。
 再起を期して南下していた狗奴国の北上で、伊都国も福岡県前原市多久付近へ逃れる最中、女王卑彌呼が亡くなり、葬られ、宗女臺與(壹與)が女王に擁立されるも、敗れて東遷した後、狗奴国の統治下、怡土(いと)・志摩(ちま→しま)と称される。

 タパケ→タマケ→タマキとすれば、「紀」垂仁天皇が遷都した纏向の珠城(たまき)宮「記」師木玉垣(たまがき)宮と関係があるのかもしれない。
また、卑彌呼・彌彌・彌馬升や彌奴国等、「彌」=爾(豊かな毛髪と女性の美しい文身)と弓(男性のトーテム)で、美しい文身を施した巫女(爾)を生す種胤(弓で射る矢を作る=矢作)で、邪馬壹国の官伊支馬(ヤキェマ=八木山・焼山→活目)は、この国の王(垂仁)で、皇后佐波遅比賣が斯馬国の娘になる。
 ッイァッパッキェッ→イァパキ→ヤパケ→ヤファキ(ヤマキ)→ヤァキとすれば、末盧国の比定地、佐賀県唐津市矢作(やはぎ)・山田、同市浜玉町飯塚・山田・横田伊岐佐、福岡県遠賀郡岡垣町高倉・海老津・山田峠付近を流れる矢矧(ヤハギ)川、その東南、同県飯塚市八木山・横田伊岐須等があり、領域の拡がりか、同意識や同語を持つ人々の移動と考えられる。

 「記」景行天皇が八尺入日子命の娘、八坂入比賣命(生母)を娶り生んだ五百木之入日子命と五百木入日賣命に関係すると云う研究者も居り、男女の御子を生ませ、二系に分裂させるが、針間(はりま)稲日大郎女を娶り、双子の大碓命と小碓命(倭建命)を生し、再度、繋ぐ。
 斯馬国の「斯」=机上で拆(さく)→「サク→サカ(尺・坂)」とすれば、末盧国の比定地とした佐賀県唐津市柏崎に八坂神社、山口県佐波郡徳地町鯖・八坂と奈良原が在る。旧く、奈良坂者と清水坂者が対立したと云う伝承があり、「紀」日本武尊の東征(蝦夷討伐)経路の酒折宮近く、建御雷男神に追われたとされる諏訪大社祭神建御名方富神の妻八坂刀賣神にも繋がると考えられる。

 万葉仮名の甲「き」=支は、父性の男系「伎・岐」=皇子、乙「き」=木国(母系)で三者鼎立の関係を示唆、大和三山や、八咫鏡・草薙剣・勾玉の三種の神器にも関係がある。

タマキ=福井県坂井郡芦原町玉木・轟木・白髭神社(竹田川)、福井県遠敷郡上中町玉置有田・兼田(かねだ)・武生(たけふ→たけを)・三宅、兵庫県朝来郡和田山町玉置・竹田、奈良県吉野郡十津川村玉置川(玉置神社)・大野・葛山・滝川、和歌山県東牟婁郡熊野川町玉置口・和田・倉神社(赤木)、滋賀県近江八幡市玉木町・板屋・金田・佐波江町・八幡町・八木町・赤尾町(白髭神社遺跡)
 玉置神社(奈良県吉野郡十津川村玉置川1)祭神 國常立尊、伊弉諾尊、伊弉册尊 配 天照大神、神日本磐余彦尊
 由緒 磐楯信仰は縄文期からの原始的な信仰か。三重県度会郡二見町海中の二見興玉神社(猿田彦大神、宇迦御魂大神)、三重県熊野市有馬町海岸壁の花窟神社(伊弉冉尊)、和歌山県新宮市神倉平地の小山の神倉神社(高倉下命)、山中深い玉置神社と熊野付近にネットワーク的に在る。神日本磐余彦尊が熊野に上陸し、神邑に到り、天磐楯に登るとあり、高倉下から横刀を受け、危難を逃れたとの説話が古事記にあるが、この磐楯信仰のネットワークの一つが玉置神社である。

平原遺跡=瑞梅寺川と雷山川に挟まれた丘陵上にある。一号墓は、周囲に18m×14mの溝を回らせた四隅が丸い方形周溝墓で、長辺4.5mの墓坑中に長さ3mの割竹形木棺が検出された。棺内の頭部と右腕の付近からは、硝子勾玉・管玉・小玉、瑪瑙管玉・小玉、琥珀管玉・丸玉が多量に出土した。棺外の頭側には中国製の素環頭大刀があり、墓坑の四隅には埋葬時に破砕された鏡が39面も出土した。その中、34面が中国鏡、5面が日本の彷製鏡である。その後、5号墳間でも発掘が続く。
 他にも弥生時代中期 (BC1世紀)の三雲南小路(みくもみなみしょうじ)遺跡(福岡県糸島市三雲)、翡翠製勾玉、碧玉製勾玉、硝子製勾玉、瑠璃管玉、硝子製小玉(首飾り)、硝子製垂飾、硝子製璧、 計1万個以上 彩画鏡(彩文鏡)-赤青白緑の顔料で彩色した銅鏡、漢式鏡、金銅製四葉座飾金具、博多聖福寺。弥生時代中期の三雲遺跡八龍地区(福岡県糸島市三雲 )翡翠製勾玉。
 弥生時代中期の井原鑓溝(いわらやりみぞ)遺跡(福岡県前原市井原)、鉛硝子製連玉(元の色は薄い緑) 銅鏡、漢式鏡20、巴形銅器、刀剣
 古墳時代前期の三雲石崎遺跡(福岡県糸島市二丈石崎)、翡翠製勾玉、同小玉。

岡垣町高倉=奈良・平安期の和名抄では岡垣町西部を垣前(かきさき)郷とする。系図資料では新羅三郎後裔南部氏流横田五郎行長は蠣崎氏を名告ると在る。尚、明治時代、岡県村と垣前(矢矧村)が合併した岡垣村。
 高倉神社(祭神 高倉下命 配 倭得玉彦命 境内社 八幡社、春日社)高倉下命の七世の孫倭得玉彦命が、この地に遷り、祖先をここの霊地に祀ったと云う。神社前の説明板には垂仁天皇代の創建と在る。倭得玉彦命は、卑弥呼の父親との見方がある。
 三重県伊賀市西高倉1046にも同神社があり、邪馬台国建国の謎を解きうる神社の可能性があるとする研究者もいる。また、倭得玉彦命の子に日女命と弟彦命がおり、日女命の孫に乎止与命がいる尾張氏系図が存在する。卑弥呼と男弟、また、臺與に充てる人も居る。大和東の都祁から近江南の柘植へ出るルート沿いに上野市があり、この平野北西に鎮座する。伊賀には縄文、弥生遺跡が多く、銅鐸も発見される。 

八坂=「紀」景行天皇が八坂入媛を娶り生む子稚帯彦命(成務)と在り、天皇京都の東山麓、元官幣大社の八坂神社(京都市東山区祇園町)の祭神は素戔嗚命・奇稲田姫命(八坂媛?)・八柱御子神。例祭の祇園会の他、特殊神事に白朮(おけら)祭がある。二十二社の一つ。もと祇園社と称し、1868(慶応4)年改称。私見で、坂を分けた事を示唆する八坂神社は、坂上田村麿の菩提清水寺の平安京系清水坂者と、平城京系奈良坂者の対立を示唆する。
 地名「八坂」は、福岡県小郡市八坂・馬渡(隣町佐賀県鳥栖市轟木・飯田町)、長崎県諫早市八坂町、大分県杵築市八坂・宮司、広島県三原市八坂町、同県佐伯郡大野八坂、鳥取県鳥取市八坂(八坂山)・玉津・福井、兵庫県西脇市八坂町・角尾山・大野、大阪府寝屋川市八坂町・葛原・対馬江、滋賀県彦根市八坂町、同県甲賀郡水口町八坂、岐阜県岐阜市八坂町・茜部大野、長野県北安曇郡八坂村大平、静岡県現静岡市八坂町・飯田、同県掛川市八坂大野、千葉県東金市八坂台・高倉・山田、福島県二本松市八坂町・大坂・山田、群馬県伊勢崎市八坂・鹿島等。尚、京都、八坂神社の山手、清水寺は坂上田村麿の菩提寺で、その子に大野とある。 

東征=日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の途中立ち寄ったという甲府市酒折(さかをり)町(善光寺)付近とされる。尚、長野県諏訪にある元官幣大社諏訪神社は、建御名方富命と妃とされる八坂刀賣命。諏訪市中洲に上社本宮、茅野市宮川に上社前宮、諏訪郡下諏訪町に下社の春宮・秋宮がある。古来、武事の守護神として武将の崇敬が厚く、6年毎の御柱(おんばしら)祭が盛大。信濃国一の宮諏訪大社と称。長崎市上西山町にも同名があり、御九日が有名。 以下は、日本の名著「日本書紀」(中央公論社)所載の大和武尊の蝦夷討伐経路図。

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甲「き」=万葉仮名甲・乙「き(ぎ)」に使われる漢字は、微妙な音韻違いや、四声違いだけで振り分けられるものが多い。新羅(シルラ)=シルラ・ぎの「ギ」も男系の甲音「岐」「伎」に関係があり、大海人皇子(天武)と中大兄皇子(天智)、更には、母系斉明(皇極)天皇=大山津見神の娘、木花佐久夜比賣や木花知流比賣等、乙音「木(もく/き)」とに関連するのは云うまでもない。
 「記紀」垂仁天皇と皇后佐波遅比賣(+兄沙本毘古)の関係や景行天皇と、その御子の大碓命と小碓命(ヤマトタケル命)との関係、五百木入日子等に繋がり、邪馬壹国の傍国として名を連ねる已百支国が狗奴国に寝返ったのかも知れない。


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  1. 2017/03/03(金) 20:34:47|
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