見まごう邪馬台国

◇竹(ちく)

 漢和大辞典に拠ると、竹(チク/たけ)や筑、築(チク→ツク→ツイ)は、何れも[tıok][tıuk][tʃıu]、紫[tsiĕr][tsiĕ][tsï]・斯[sieg][siĕ][sï]で、筑紫や竹斯とは、竹で編んだ網状の籬(かき→ませ)を衝立として水を抜き、水路(つる)に流す等の治水工事を施した河口部の中州や河岸にできた築地(ちくち・つきち→ついぢ)や築施(ちくせ)と考える。*施[thiar][ʃıĕ][sī]
 おそらく、
「地名」杵築(きつき)・木月(きつき)・築城(ついき)・月瀬(つきがせ)・佃(つくだ)島・月(つき)島等は同源で、そうした築地の環濠集落が村邑(くに)となる。その後、強国に拠る支配が始まり、夫々が連合し、領域が拡がると支配域の全体、北部九州一帯の呼称にされる。
 

 また、現在、海中道で福岡県糟屋郡や福岡市東区や博多区と陸路で繋がる志賀島は、縄文海進期や弥生後期、AD200~300年頃の温暖化に因る奈多や西戸崎等、四つの島だったが、古墳時代の冷温化に因る海退や、潮汐に因る泥砂の堆積に拠って繋がる。
 この場合、築地ではなく、接地=筑紫(つくち→つくし)で、海進期、奥まった博多湾岸に注ぐ河川の流路が自然に変化したか、治水工事を施して変更したか、多くの中州が接合されて繋がる接地(つくち)とも考えられる。

 竹(たけ)→建(たけ→たち)=立で、月立(つきたち→ついたち)=一日(朔)とすれば、月読命は筑紫(つくし)と関係があり、卑彌呼の鬼道とは潮汐(こよみ)を伴って変化する月の形状を観察する暦学で、月読(つきよみ→つ・こよみ→っこよみ)=暦にも繋がる。
 南下した狗奴国=建日別(熊曽)とすれば、月読命は巫女(太陰)が、月夜見尊→月弓尊と表記が変化、卑彌呼自体を祀る覡の建=立(たち)→大刀(卑彌弓呼=ヤマトタケル)、剣(つるぎ)=水流岐(つるぎ)=敦賀(つるが)→駿河(するが)に分裂する。
 更に、「武(武器で止める)」と云う漢字には父系制(家長)での血縁、嫡嗣とは違い、母系制での家督を嗣ぐ娘に婿入した夫が血縁ではなく継ぐと云う意味が在り、武(たけ)=接(つぐ)=継ぐともなる。

 京築(けいちく)地区の福岡県京都郡犀川町上伊良原、標高220㍍の山間、榎遺跡から約九千年前の住居跡が発掘された北部九州東側、豊国の沿岸部も倭人系海民や水耕稲作民の住んだ筑紫だが、弥生後期、人口増加に因る食料不足等が契機か、政情不安に乗じた狗奴国王卑彌弓呼の北
上に拠り、卑彌呼が亡くなり、その宗女「壹與(イチヨ→イヨ)」が靡き、係累の「臺與(タィヨ→トヨ)」が分裂して逃げて豊(とよ)と呼ばれる。
 更に、そこからも追われた臺與は日本海沿岸を東遷する。狗奴国王卑彌弓呼は、壹與を残して後を追う様に周防灘を渡り、瀬戸内海沿岸を東遷、山口県と広島県境付近から北上し、国譲させたと考える。

 有明海沿岸部の肥国(ひのくに)は筑紫の「築地」とは違い、筑後川や矢部川、六角川や牛津川、白川や緑川等の河川に阿蘇山の火山灰が運ばれて土砂として堆積、瞬く間に這うように延びていく泥濘地が「肥える」と呼ばれた。その浅い海で獲れる貝等の水産資源が豊富だったのだろう。
 もしかしたら、今では南西諸島付近でしか獲れない貝輪の材料「芋貝・ゴホウラ」も縄文海進の温暖期には生息していたのかも知れない。その後、小氷期で凍える程に気温が下がって海退すると、泥濘地の水気が抜けて陸地化する。
 それが故か、「凍」も肥(こゆ)と同訓にされる。更に、泥水が濾されて土壌の密度が濃くなり、「越(こし→こゆ)」=上に到る、経過する、抜け出る等の語義があり、日一日と泥濘地は拡がるが、粘土質ではないので土壌改良が施されて水田化されたと考える。

「筑」=中国の古代楽器。箏に似て小さい。頸が細く肩は円い。左手で柱(ちゅう)を押さえ、右手に竹の細棒を持って弦を打って鳴らす。周末より漢初にかけて(えん)の地方を中心に行われた。筑紫国(つくしのくに)の略。

ませ(籬・笆・架)=「間塞」、「馬塞(うませ・うまふせぎ)」の意。竹や木で作った低く目の粗い垣。真瀬垣・籬(まがき)。間狭=劇場の枡の仕切。 馬塞=馬が出られないように作った垣、厩栓棒(ませんぼう)、馬出(まいだし)等の地名は関係が在るのかも知れない。また、動詞「益・増(マス)」の連用形から、ませている事。年齢の割に大人びて見える事。また、その様な子供。おませ。早熟。老成。
 「記」黄泉国から還り、伊邪那伎大神は「なんと恐ろしい恐ろしい穢れた国を訪れてしまったのだ。禊をすべきだろう」と竺紫日向(つくしのひむか)橘小門阿波岐原(吾吐き原)を訪れて禊祓をする時、投げ捨てた杖に生り出でた神名は衝立船戸神~云々。*竺[tıok(tok)][tıuk(tok)][tʃıu(tu)]=太い竹、厚く行き届いている様。阿波岐→淡(あは)き・喘(あは→あえ)く
 「紀」筑紫日向小戸橘之檍原、即投其杖岐戸(ふなと)神~云々。
*檍[・ıək][・ıək][iəi]=〈神代紀上訓注〉橿・黐(もち)の木の古名、梓の類等、未詳。古訓「あはき」とあるが、漢字音に拠ると、「ィアク→ヤク」となる。*厄(やく)原、阨(あく)原、葯(やく)原(葯=雄蘂先端の花粉を生じる嚢)。

立(たち)=「歌舞伎」舞台上で座り、演奏する囃子方に対して、演じる役者を立ち役とする事、同性愛者の男役を立(たち)、女役を猫とする理由も同様(男=立ち、女=寢こ)。例えば、犢鼻褌(たちふさぎ→たっふさぎ)、三毛猫=猫の毛色で、白・黒・茶の3色の毛が混じっているもの。また、その雌猫(雄猫=たま)とされる。詰まり、天皇の和風謚「倭根子」=倭人の母系と云う意味があり、天照大御神が速須佐之男命の帯びた十握剣を物実として生した三女神と、速須佐之男命が天照大御神の珠(たま)を物実として生した五男神(大刀)と考えられる。また、ヤマタノヲロチの尾を斬り裂くと出てきた「記」草那芸大刀(クサナギヌタチ)、「紀」草薙劒(くさなぎのつるぎ)とある。

榎遺跡=県内では二番目の古さとされる
住居は、二本の柱で支える構造で、床にあたる部分の直径2.5㍍前後、定住家屋としては小さく、狩猟キャンプ用の簡易家屋とされる。季節に拠って住居を変えたのかもしれない。同時期の縁に凹凸の飾りが一列ずつ施される柏原式土器の破片、約百点も出土、同様のものが福岡と大分で出土、今回の発見で復元の可能性あると云う。他にも旧石器時代(約1万2~3千年前)のナイフ型石器、鎌倉~室町時代の土壙墓七基から青銅製和鏡等の副葬品も多数出土した

豊国=石塚山古墳 4~5世紀(福岡県京都郡苅田町富久町)琥珀製勾玉、碧玉製管玉、三角縁神獣鏡,、三角縁吾作四神四獣鏡、三角縁獣文帯日月四神四獣鏡、三角縁獣文帯天王日月三神三獣鏡、細線式獣帯鏡、素環頭大刀の銅、鉄製武器、武具。竪穴式石棺前方後円墳全長110m
 御所山古墳 5世紀後半(福岡県京都郡苅田町与原)翡翠製勾玉、翡翠製棗玉、碧玉製管玉、硝子製小玉、倭製四禽四乳鏡,金銅製雲珠等の馬具、鉄製武器他。横穴式石室前方後円墳全長119m「宮内庁書陵部蔵」
 番塚古墳 5世紀末-6世紀初(福岡県京都郡苅田町尾倉)金環、翡翠製勾玉、勾玉、管玉、丸玉、硝子製玉類等、神人歌舞画像鏡 銀箔片、銀捩条片、金銅製飾金具、轡、剣菱形杏葉、鞍金具、革金具他等の馬具、銀象嵌大刀(同心円文、蓮華文、魚文の銀象嵌)
大量の鉄製武器、武具他。横穴式石室前方後円墳全長50m
 下稗田(しもひえだ)遺跡 弥生前~中期(福岡県行橋市下稗田)翡翠製勾玉
 琵琶隈古墳 古墳時代中期(福岡県行橋市延永)翡翠製勾玉, 青色硝子小玉、舶載内行花文鏡、素環頭大刀、短剣1、鉄鏃、靫、 札甲。竪穴式石室円墳径25m
 竹並遺跡竹並横穴墓群 5世紀後半~7世紀(福岡県行橋市南泉)耳環、勾玉、イモガイ製腕輪(釧)、ゴホウラ貝製腕輪(釧)、管玉、丸玉滑石製装飾品、乳文鏡、馬具、銀象嵌鍔と鞘尻金具、双龍環頭大刀、蛇行剣、圭頭太刀他の鉄製武器。
 山田1号墳(福岡県築上郡上毛町安雲)耳飾り、金銅装・装飾品他。 円墳
 黒部古墳群 6世紀末~7世紀中(福岡県豊前市大字松江)瑪瑙製玉類、水晶製切子玉、硝子製玉類等、銀製杏葉、金銅製雲珠、金銅装金具、金銅装鋲他等の馬具、銅製圭頭式柄頭、銅製鉄縁・喰出鐔等の武器。円墳7基

筑紫(ちくし)=福岡県北九州市小倉南区曽根付近を流れる竹馬(ちくま)川と在り、遠賀川中流域を筑豊(ちくほう)と呼ぶ事からも筑紫(ちくし)となる。尚、茨城県南西部の筑波(つくば)山と、琵琶湖東端の滋賀県米原市朝妻筑摩(ちくま/つくま)との関係は如何なものだろうか。
 近江国坂田郡米原町朝妻筑摩の筑摩(朝妻)神社(孝安天皇)では、古く、4月1日等に行われた鍋被り、神輿に従う女性が関係を結んだ男の数だけの鍋を被ったらしいが、今は5月3日に少女が緑の狩衣、緋の袴をつけ、張子(はりこ)の鍋を被って供奉(ぐぶ)する。鍋祭。鍋冠祭
 茨城県つくば市筑波の筑波山神社「伊弉諾尊、伊弉册尊、加具土命」、筑波山の西峯=筑波男神(伊弉諾尊)、東峰=筑波女神(伊弉册尊)の二座を拝し、御神体山と仰いだ。同県新治郡霞ヶ浦町大堤とあり、これも治水工事等を施した新しい端(接く地=生した子加具土命)になる。

国譲=邪馬壹国と伊都国連合は新たに統治権を象徴する金印「親魏倭王」を魏王から授かったため、漢の属国として統治権を委ねられた事を象徴する金印「漢委奴国王」を隠匿する。その後、狗奴国に追われて邪馬は金印を携えて逃げるが、譲り受けて邪馬
称したと考える。尚、隠匿された金印が志賀島で発見されたと伝承される。


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  1. 2017/04/12(水) 00:23:48|
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