見まごう邪馬台国

◇倭の訓は「やまと」で良いかと云う疑問

永遠の謎と思しき命題、大和(やまと)と呼ぶ理由を小学生でも分かる様に説明できるか?と云う友人の問いに対して、幾つかの疑問を取り上げながら私論を述べた後、掻い摘んで分かり易く説明しようと思います。
「大和」と云う表記は、大和朝廷と「続日本紀」等の従四位下大和女王や大和宿禰等の姓氏、大和国添下郡等に使われる地名以外では見えません。古事記(記)では、天皇の和風謚号を大倭(おおやまと)とし、歌謡は「夜麻」=倭と訓じますが、日本書紀(紀)は天皇の和風諡号を大日本(おおやまと)、国産神話で「耶麻(耶)」=日本、もう一つ「景行17年」の歌謡では「夜」と訓じます。「記紀」では、夫々、表記に違いあります。尚かつ、「紀」には「日本」と「倭」でしょうか、二種の「ヤマト」がありそうです。殆どの学者や研究者は取り上げませんが、こうした違いに何ら意味がないとは思えません。
信頼に足ると思しき藤堂明保編「漢和大辞典」に拠ると、葉仮名に使われる漢字音(順に上古音・中古音、以下同)は下記の如くあります。
夜・耶[diag][yia](ヂァッ・ヤ)
麻[mag][ma(mba)](マ/ムバ→ゥバ)*同音「馬」  [muar][mua(mbua)](ムァ/ムブァ→ゥバ)
[təŋ][təŋ](タヌク→タゥ)  [dəŋ][dəŋ](ダヌク→ダゥ)  [dəg][dəi](ダッ→ダィ)*近似音「臺」
 
上記、万葉仮名成立期の漢字音(中古音)に順うと、「ヤ」音は異なる漢字が二種が使われますが、何れも同音です。次の「マ」音は「マ(ムバ)」と「ムァ(ムブァ)」の近似音二種の漢字が使われます。更に、通常、万葉仮名特殊仮名遣い乙音「ト」とされる音には「タゥ」と「タィ」の二系統の音があります。上記、四つを日本語の連声や連濁等、発音上の性質を鑑みて仮名書きにしてみますと、下記の如くなります。*中国音の「四声」は除外
「記」夜麻登(ヤマタゥ/ヤムバタゥ→ヤヴァタ→ヤワタ)
「紀」耶麻騰(ヤマタゥ/ヤムバタゥ→ヤヴァタ→ヤワタ)
「紀」耶摩騰(ヤムァタゥ/ヤムブァタゥ→ヤヴァタ→ヤワタ)
「紀」夜摩苔(ヤムァタィ/ヤムブァタィ→ヤゥバタィ→ヤヴ゙ァタィ→ヤワタィ)
 
上記、前者の三つは「記」山田(やまた)之曾冨の近似音で、丸括弧内唐音では八幡(やわた)の近似音となります。後者の一つは、「ヤムァタィ→ヤマタィ」となり、邪馬臺国の近似音になります。これらを全て同国名として良いのかと云う疑問を持たざるを得ません。これを「ヤマ~」として、語幹「ヤマ」の語義を推測してみましょう。
現代の日本語の音感的には山(やま)を連想します。これは人の住む地域より高く木の生えた鳥獣の住む所等のニュアンスでしょうが、本来、耕作地を持つ農耕民等にとって、己が村に対して他人の村等の彼方側を区別する境界(緩衝帯)で、古来、豊壌をもたらす田の神(タノカンサ)以外は立ち入りできない禁足地だったと思われます。そうした緩衝帯とされた河川を拠点にする河民(河伯)等と同様、狩猟採集民(山民)の住む山地も異界の人々の領域と捉えられていました。詰まり、此方側と彼方側とを分ける境界となり、漢数字八」が持つ語義「分・半・別」と緩衝帯としての間(はざま)を併せた八間(やま)と考えられます。
但し、「記紀」海幸山幸神話等の「ヤマ」は、そうした異界から来た山幸(王族や官人)の影響を受けて海民海幸の領域が分裂する事で、八=分けると[mәg][hai][hai]の上古音「マッ」を併せた八海(ヤマ)=山となります。詰まり、領海や領域を別けたと云う意味を持つ「ヤマ」(緩衝帯)に区画としての「田」や「所」等を付加した「ヤマタ「ヤマトウ」自体が境界を持つ国域や邑域にされたと思われます。では、何を意味するのでしょうか。
 
十七年春三月戊戌朔己酉幸子湯県遊于丹裳小野時東望之謂左右曰是国也直向於日出方故号其国曰日向也是日陟野中大石憶京都而歌之曰、波辞枳予辞和芸幣能伽多由区毛位多知区暮夜摩苔波区珥能摩倍邏摩多多儺豆久阿烏伽枳夜摩許莽例屡夜摩苔之于屡破試異能知能摩曾祁務比苔破多多濔許莽幣遇利能夜摩能志邏伽之餓延塢于受珥左勢許能固
山田(やまた)之曾冨騰=「記」出雲神話で少名毘古那の名前を誰も知らないが、案山子の崩彦(久延毘古)なら知っていると在り、彼は、今に云う山田(やまた)之曾冨騰だと云う。この神は足は行かねども天の下の事を尽に知れる神とする。
唐音=中世12~16世紀頃の南方の杭州音が主な母胎とされる。
邪馬臺国=邪[ŋiăg(yiă)][ie(ziă)]・馬[măg][mă(mbă)]・臺[dəg][dəi]=海人の国を二つに別ける都。
八[puāt][puʌt][pa]=午後三時(八つ時)頃に食べたとされる「お八つ」だが、12~18時、夕餉迄の真ん中とすれば、二つに分ける境界になる。一日を「夜」と「昼」の二つに別ける。正と邪(じゃ→や)に通じる「耶」は漢文では疑問や反語に使われる(正誤)。

関連記事
スポンサーサイト
  1. 2014/08/01(金) 20:25:52|
  2. 1.私論「大和」
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<◇ヤマタノヲロチ | ホーム | ◇南加羅>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://mimago.blog.fc2.com/tb.php/15-75569118
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)