見まごう邪馬台国

◇「山」と「島」

「島」と同訓、河川の中州(しま)を、漢字の語源から川底に土砂が堆積し、その流域中に存在するものとすれば、河川流域中の緩衝帯で、山と同様の境界になります。表題の「島」の場合、大海上に浮かぶものとすれば、「山」も雲海上に浮かぶと云う共通性を有していますが此方側と彼方側の異界を分ける緩衝帯とした「山」とは違い「島」は海水や湖水に囲まれ、それ自体が別の区画として存在します。どちらかと云えば、海水や湖水自体が緩衝帯と考えられます。そこで少し見方を変えましょう。「記」歌謡の万葉仮名では、何故か、「島」を「斯麻」「志麻」の二種で訓じます。
前者に使われる斯[sieg][siĕ][sï]=こう・この様、此処(ここ)、現世白川静編「字統」机に置いたものを斧で切り分ける。これを万葉仮名成立期の中古音で仮名書きすると、斯(シェ→セ)・麻(マ/ムバ)=シェマ→セマ(シェムバ→セムバ)となります。丸括弧内「シェムバ→セムバ→セバ」は、(セバ)いとする地方も在り、俗世間(シャバ)=現世ともなります。また、「センバ」とすれば、千把(せんば)扱ぎ=歯状のものを間隔を狭めて付けた脱穀用の道具や、船溜りだったとされる地名の船場(せんば)等も堀川に囲まれた狭い区画とすれば、同源かも知れません。
後者、志[tiəg][tʃıei][tsï]=心が向かう所、死者への追善供養、その送物(こころざし)とあります。「字統」指示代名詞の「之(これ)」と同義、その楷書は「士」で心中に在るもの、「詩」は、それを言葉に発したもの。前者と同様、万葉仮名成立期の中古音を併せ、志「チュィェィ→チェィ」・麻(マ/ムバ)=チェィマ→ティマ→チマ(チェィムバ→ティゥバ→チゥバ)、その丸括弧内「チェィムバ→チゥバ」からすれば、房総半島の地名「千葉」は、霞ヶ浦を水道とし、略切り離されていたのでしょうか。また、差別用語とされるチェィムバ→チムバ→チンバ(跛・蹇)とすれば、三歳迄、足が立たない蛭子(ひるこ→ゑびす)=事代主神、山田之曾冨騰(案山子=欠足)の崩彦(くゑびこ)にも関連が在るのかも知れません。
前者は切り取られて狭間(セマ)い事、後者は同様に小間(チマ)い事、何れの場合も大きな領域に周りを囲まれた状態になります。序でに、島の浮かぶ海と山を繋ぐ河川がカハ→カワとされた理由と、その意味を考えてみましょう。
例えば、魚河岸(うほかし→うをかし)を海洋や河川の漁師が獲った魚を海岸や河岸に水揚げし、その場で物々交換したり、売ったとすれば、手前の此方(こっち)を河岸(こし/かし/きし)とし、向いの彼方(はち→あっち)を端岸(はし)として区別したのでしょう。後代、両岸を橋(はし)で繋ぎ異界の地と往来が始まると「カシハシ→カッハッ→カハ」と呼ばれましたが、日本語では「H」音がK音化したり、無声音化し易いため、「カハ→カゥア→カワ」と発音されたと思います。
古今東西、緩衝帯としての「山(森林)」と同様、異界とを分ける境界「河川」は、此方側の河岸も水量によって曖昧な緩衝帯としての河原があり、その流れを介した彼方側の河岸(はし)は、異界の地でよく分からないと云うニュアンスになり、此岸(現世)ではない彼世(あのよ)への彼岸(ひがん)とされます。万葉仮名「か」には河[ɦar][hə][ho]と同音「何」も使われるので、おそらく、疑問詞「か」の語源([ɦar]ファゥ→ファッ=what?)と考えられます。
また、湖岸や海岸の「浜」は河川に拠って運ばれた土砂が波打ち際に寄せられた堆積地で、陸地と水域と云う別の領域に挟まれて流水や波浪に洗われる曖昧な緩衝帯で狭間(はざま)となります。おそらく、端間(はしま/はたま)→始(はじめ)/初(はぢめ)→発(はつ)→八間(やま/はちま)→浜(はっま→はま)と転音し、派生したと思われます。
 
之[tiəg][tʃıei][tsï](これ)=多数の中から一つを切り取って選ぶとすれば、範囲を狭めて小さくする事に繋がり、所有「の」も切り取って個として示す。
「チマ→コマ→クマ」と転音し、緩衝帯の山と山に挟まれた谷間の狭隘な土地や深く入り込んだ湾奥を意味する「隈」「隅」となる。また、「チマ→チバ→キバ→キハ(際)」ともなる。*牙(きば)も口唇の際から突き出た犬歯
河岸(こし)=越前(福井県東部)や越後(新潟県)と越中(富山県)等の北陸三県を越(こし)国とする理由は、大陸の粛慎や渤海の海民が移り住んだ此方側で、「越」の字を使う理由は大陸南部に居た粤(ヱツ)人と同様、近畿から見て、立山連峰等を越えた国となる。


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  1. 2014/08/15(金) 11:09:03|
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