見まごう邪馬台国

◇東漢氏

「隋書俀国(倭国)伝の証明」の著者矢治一俊氏は、【『日本書紀』等で「やまと」と訓じられる漢字には、「東」「倭」「委」「日本」と、「元興寺伽藍縁起并流記資財帳」、651年の元興寺塔露盤銘「令作奉者山東漢大費直名麻高垢鬼、名意等加斯費直也、書人百加博士、陽古博士。丙辰年十一月既、爾時使作金人等、意奴彌首名辰星也、阿沙都麻首名未沙乃也、鞍部首名加羅爾也、山西首名都鬼也」と在り、「山東漢」を『日本書紀』の「東漢」「倭漢」と同姓氏としています。
また、「日本書紀の謎」の著者森博達氏は、日本書紀(紀)の記事をα群とβ群に分け、α群は中国人が書き、β群は日本人が書いたものとします。東漢氏は、6世紀末の雄略紀・欽明紀・敏達紀のα群、倭漢は、7世紀中期以降の皇極紀のα群と応神紀・推古紀・天武紀のβ群にあります。詰まり、「東漢」は6世紀末のα群、「倭漢」は7世紀中頃のα群と、応神紀・推古紀・天武紀のβ群にあります。この事から日本人の主張がはいるβ群は全て「倭漢」で統一され、中国人が書いたα群は6世紀末の敏達紀迄は「東漢」で、7世紀中頃の皇極紀からは「倭漢」である事が判り、「やまとのあや」は6世紀末~7世紀中頃迄の間に、東漢→倭漢に変化した事を意味するとします。また、「東漢」は「山東漢」の「山」が省略されたものだから、山東漢→東漢→倭漢と変化したと事になり、「やまと」と読む最初の漢字は「山東」だった事になると云います。
上記の如く皇統に拠って「紀」の記述にα群の二系とβ群と云う用字の変化があったと云う事が、私説の三種(或いは、四種)の「やまと」と繋がるのだと思います。ただ単に為政者が代わっただけではなく、その度に採用する文官が用字法を変える理由や、その意味を理解する必要があり、夫々に独自の主張を織り交ぜて編纂された史書が一つに纏められたと考えられます。
>「やまと」は『日本書紀』では「東」「倭」「委」「日本」~云々。述べてきた様に、これらの全てが同訓同義として良いのかと云う疑問があります。況してや、「山東」の山を省略した「東」も同義だとすれば、「ヤマ」≠山で、偶々、山の東側だったから「山」の字を充てたとも云います。】
例えば、東[tuŋ][tuŋ][toŋ](トゥ)は、「乙ト」登[təŋ][təŋ](タヌク→タゥ)、騰[dəŋ][dəŋ](ダヌク→タゥ)等と近い音「トゥ」なのは注目すべき事で、太陽の昇る東と饒速日命や神武の東遷との関連を無視できません。
>中国人が書いた6世紀末のα群は敏達紀迄は「東漢」で7世紀中頃の皇極紀からは「倭漢」である事が分かる~云々。例えば、「魏志倭人伝」倭人在帶方東南大海之中。依山島爲國邑。舊百餘國漢時有朝見者今使譯所通三十國と云う記述からすれば、旧百余国中、漢の時、朝見する者がありました。今、通訳を使い通う所三十国となり、旧くは漢語が使えましたが、今は通訳者を伴うと読めますから、これも為政者の入れ代わりを示唆します。おそらく、漢の属国とした金印「漢委奴国王」を授かった当時の倭人海民(磐→鰐)は漢語を理解した南中国(呉音)系の人々で、そうした彼等が邪馬壹国の通訳を担ったと思われます。
その漢字音、漢[han][han]、委[・iuar][・ıuē]と奴[nag][no(ndo)]を併せると、ハヌ・ィゥアナグ→ハヌ・ィワナグ→ハニワナッ(埴鰐)となり、「記紀」大山津見(大山祇)の娘石長比賣(磐長姫)、竺紫君石井(筑紫君磐井)や「紀」海民熊鰐と「紀」神武東遷の水先案内倭直部椎根津彦、「記」倭国造等祖槁根津比古にも関連がありそうです。前者、倭[・uar(・iuar)][ua(・ıuē)]、直[dıək][dıək]、部[buəg][bo(bəu)]を万葉仮名成立期の中古音と和訓を併せて仮名書きすると「ヤマ・ティェッ・ブ→ヤマ・タ・ブ」ですが、漢字音だけで訓じるとは、ィワタブ(磐田部)→ワタブ(渡部→海部)と訓めます。
 
山東=「紀」倭迹迹百襲姫、「やまと」=山跡、山常([dhiaŋ][ʒıaŋ])等と漢字表記され、山がある処、山に囲まれた処を意味したされるが、海民とも云われる倭(ワ→やまと)、東(あづま・やまと)を説明できない。
鰐(わに)=倭人→人[nien][niĕn(rıĕn)][rıən]とすれば、「ィワニヌ→ワニン(ィワゥリェヌ→わじん)かも知れない。
国造(こくぞう)=「記紀」神武東遷説話「是排別之子排別此云飫時和句(石押分子)、此則吉野国樔(吉野国樔)始祖也。国樔部(くずべ→くずら)=国造(クゾゥ→くず)→狗奴(クドゥ→クダ)羅かも知れない。
磐田部=磐(イパ→イハ)=「ipa → ihua → iua」と転音した。現日本語の漢字音は主に上古音と中古音に近い音が使われる。上記が正しいとすれば、既に、「記紀」の完成時期、磐(イハ→イワ)とされており、これも室町期の成立とした理由の一つ。

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  1. 2014/09/21(日) 22:17:52|
  2. 1.私論「大和」
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