見まごう邪馬台国

◇現代日本語と和語

 「記紀」成立以前の言葉と現代日本語の訓音や語彙の直接的な繋がりを推定するのは難しいでしょう。但し、現存の形式として室町期以降に成立したとした 「記紀」の訓音や語彙を通じ、その成立期の言語と現代日本語との関係を推定できるかも知れません。詰まり、他国の言語に拠らずとも関連づけられると考えま す。以下、先掲の(1)~(6)の朝鮮語との対応に就いて使用される漢字、その音訓と語義等を再検証し、私見を述べてみます。

 (1)頭(あたま=mara)から馬(うま=mar)
 「紀」神の頂(つむじ)に牛馬に化けて為る。広辞苑「頂」=頭、頭上。同訓「戴く」=頭に 載せる、高く差し上げる。本来、貴人の前で手を高く掲げ、ひれ伏して額衝くと推定されます。また、端(ハタ)→始(アタマ)と終→始(ツム)とすれば、頭 髪が集まる頂(つむじ=詰道)、詰・摘→終(つむ)=途切れる、積→集(あつ)む、瞑(つむ)る、紡(つむ)ぐ、俯(うつむ)く等も同源になり、頂(つ む)→頭(おつむ)→集(あつむ)→頭(あたま)と転音しました。
 「記」頭(かしら)に於て蠶(かひこ)生るとする。この「カシ・ラ」も河岸(かし)や端(はし・かし)と同源で、一番(始)、端境(終始)、最高(終)等の語義に派生し、頭(かしら)=首領(どん)にされます。
 尚、モンゴル語でも馬(mar)で、中国語の馬[mag][ma(mba)][ma](ゥマ/ゥバ)」も遊牧騎馬民の言葉に影響されたのしょうが、古代 朝鮮語も朝鮮半島南部に住んだ韓人系言語だけではなく、中国大陸(中原)の政情不安に因る人々の移動で北部のモンゴル平原から押し出された遊牧騎馬民の烏丸・鮮卑・女真・扶余(朝鮮族)等が半島北部に持ち込んだ言葉にも影響されたと考えられます。
 尚、馬(mar)は長い頭と首の動物で、男性のトーテムにされます。強くて速く走れる優秀な種馬「アズラガ」に対する「モリ」は去勢馬だけではなく、温和しい牡馬や馴れた牝馬も含まれるのでとすれば、去勢馬=モリと韓国語の頭=モリ(moli/mara)は通音する理由かも知れません。更には、日本語の男性器マラ(mara)にも何らかの因果関係がありそうです。
 例えば、韓国語で対応のない「牛」は、男性器(ら)の象徴、馬(午)→杵(きね)に対し、女性の象徴を臼(うす)とすれば、「ウスィ→ウシ(牛)」で、大国主神の「ヌスィ→ヌシ(主)」にも繋がると考えられます。
 「記」御合(うけひ)の後、天照大御神が忌服屋で神御衣を織っている時、スサノヲが、(棟)を穿ち天之斑馬(ぶちこま=白黒→陰陽)を逆剥ぎにして落とし入れたため、天服織女は驚き、⑦梭(ひ)で陰(ほと)の上を衝き死ぬ。それが原因で神遣らいされて食神に食物を乞うとします。
 述べてきた事と、「紀」頂に牛馬化為る有りとする事、駿馬(しゅん・)と「女」と同訓にされる事、日本人が持つ輪廻転生思想や神仏混淆の思想等を考慮すると、この「頂に化けて為る牛馬」は以下の関係で対応します。

    「紀」父性=京都の八坂神社(祇園社)の牛頭天王=頭(須勢理毘賣→八坂姫)と身体(素戔嗚尊)
    「記」母性=福岡県太宰府市の観世音寺の馬頭観音=頭(大国主神→大己貴命)と身体(須世理毘売)

 室町期、「紀」父系女子(馬頭観音→牝馬)を嬪(母性)とし、「記」母系男子(牛頭 天王→牡牛)を皇孫(すめみま)として生した皇子を乳母(めのと)が育むと云う天皇家の思想的な形式が成立、生母が子を養う母系制と違い、家長制での実父 と養母の乳が「ちち」と同訓にされます。日韓両国の言語に類似点や関連性は無いとは云いませんが、韓国語の牛(so)との対応は無視しますので、我田引水 の類でしょう。

(1)~(6)=頭(アタマ)から馬→頭(mara)から馬(mar)、額(ヒタイ) から粟→額(cha)から粟(choh)、眉から蚕→無し、目から稗(ヒエ)→目(nun)から稗(nui)、腹から稲(イネ)→腹(pai)から稲 (pyo)、陰(ホト)から麦及大小豆(マメ)→陰(poti)から麦(pori)小豆(pat)
集(あつむ)→頭(あたま)=毛髪の渦巻きが集まり終息する所=旋毛(つむじ)→終 (すむ/つむ)=了(すむ)。また、澄(すむ)=濁りが沈殿して底に溜まる。住(すむ)=耕作民が留まり暮らす(狩猟採集民や遊牧民は移動しながら暮ら す)。旋風(つむじかぜ)は頭頂の旋毛が渦巻く事→回転する。
端(かし→はし)=ハ行には「端境」「区別」等のニュアンスが在り、尾っぽの「ぽ (ホ)」も先端と云う語義で、尾(後部)の先端として良いが、面や線ではなく「点」に近い。例えば、穂=先端、誉める・秀(ホ→ヒィ)でる=抜きんでる、 火(ホ)=炎の先端、歩=点々と続く足跡、浦=膨らんだ水際の先端、帆=風を受け膨らんだ布の先端、干(ホ)す=溜池で減水して底に留まる、掘る=一段下 げる→抜く、星(ほし)=光点、「ぽつんと一人」等。
どん=接頭辞「ど」=罵り、卑しめる意。その程度が強い事を云う語の撥音化か。どん尻(どんじり)は、尻を罵って云う語。西日本や茨城・愛知県等、最後・最下位・びり・どんべ。「どんけつ」は最も終りである事。最後・どん終い等。上記、首領、一団や仲間の長・頭・魁は一番最後に控える人=最高。「びり」=人を罵って云う順位の一番下、一番最後。遊女・女郎。使い古して性(しょう)の抜けた布→びりびりに破れる襤褸(ぼろ)布。
馴(ナ)れる=巡・順等と同系で、巡=流れのままに進む。順=流れに向かう。馴=馬が流れ(人の指示)に従う。*「慣」=反復して覚える
牛[ŋıog][ŋıəu][niəu]=上古音(中古音)では鼻濁音「ヌギォ(ヌギェウ→ヌゲゥ)→ギゥ」、近世音では「ニェウ→ネゥ→ニゥ」。
梭(ひ)=織機の付属具。製織の際、緯糸を通す操作に用いる。木や金属製で舟形に造ったものの両端に金属・皮革等を被せ、胴部に緯管を保持する空所がある。一側に穿たれた目から糸を引き出し、経糸の中を潜らせる。
駿馬(しゅん・め)=「紀」保食神の頂に牛馬化し為る~云々、陰(ほと)から麥(む ぎ)及大小豆(まめ・あずき)生るとするが、「記」大宜津比売の頭に蠶生る~云々、陰に麥生る。尻に大豆(まめ)生るとするので、男の陰部=男性器と肛門 の二穴、女の陰部=女性器及び尿道口と肛門の三穴からすれば、「紀」=女性、「記」=男性に転生したと考える。もう一つ、豈(あにはからんや)=大きな高坏(大豆)で、これに作物を意味する「丰(ほう)」を付すと、豐(ホゥ・ゆたか)と云う字になり、卑彌呼の宗女臺與(タィ・ヨ→豊)と筑紫(九州)の「記」日別と建日向日久士比泥別(豊国)。「豈(大豆)」は狗奴国王の卑彌弓呼に繋がるのかも知れない。*壹與(イッヨ→伊豫)=四国
牝馬(ひん・ば)=嬪(ひん)は君主の寝所に侍する女官。夫人に次ぐ四位・五位の者 (=嬪御)。平安期、後宮の女官で、女御(にょご)の次位、天皇の衣を換える事を司り、天皇の寝所にも侍した後世の更衣(こうい)。尚、牝[bien] [biěn][piən]と嬪[bien][biěn][p'iən]とあり、子を産む母性の意味を持つが、同様に扱われる雌雄の雌[ts'ieg] [ts'iě][ts'ī]は違う発音になり、「雄」に対して小さいとか、弱々しい、控えめな等の語義とある。



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  1. 2016/03/10(木) 14:04:47|
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